高橋統仁です。

【生闘死残】と銘打ちました、

”生きる為の闘いと死んで残すもの”

生と死、それぞれの方向性を決めた頃、

妻から、ある事を告げられます。

「内緒でって言われたんだけど・・・。」

普段から、隠し事ができない妻なので、

内緒、と言われたものは、

大抵こんな出だしで話し始める。

出会ってから16年になるが、

こんな言い方をする時は、あまり良い話ではない。

「腎臓クリニックの医院長から電話があって、

旦那さんに内緒で一度会いたいんだって。」

「なんでも、今後どうするかを話したいみたい。」

う~ん・・・・。少しビックリした。

”今後の事を私に内緒で話す。”

と言う所でビックリしたのではなく、

”医院長から連絡あった。

と言う所にビックリだった。

何故なら、私が週3回通う、腎臓クリニックは

理事長がお父さん、医院長が息子さんで経営している。

私は癌を告知された時に、

嫁の次に癌を伝えたのは腎臓クリニックでした。

癌である事を伝えた所、すぐにやってきたのは理事長。

この理事長、年齢は70歳位、

いつもゴルフウェアを着て、やってくる。

そして彼の最大の特徴と言えば、”好奇心旺盛”。

何か変わった事があると、興味津々で

笑顔を振りまいて近づいて来る。

「癌なんだって?大丈夫、私が最後まで面倒見るから。」

新しいおもちゃを見つけた子供の様に、

満面の笑顔だ。

そしてその日から、現在もそうだが、

私が人工透析を受けに行くと、笑顔でやってきて、

「何か変化合った?」と聞いて来る。

ある日等、私の家族構成からケ鄭の事情、

果ては預貯金までを教えてくれと言ってきた。

癌患者が珍しいのか、

詳しい事情を聞いて何がしたいのか分からないが、

とにかく、私が透析に行くと、笑顔でやってくる。

まだどこも痛くも無いのに、

「モルヒネあげようか?」

痛い所があると、

「それは癌のせいだね!」

等と勝手に診察して行くのだが、

背中が痛かったのもお腹が痛かったのも、

単なる透析の除水不足だったりして、

まったくあてにならないのだ。

少しボケてしまった

おじいちゃんのお相手をしているような感覚になってくる。

そうは言っても、一応は心配しているところもあるので

話し相手はしているのだが。

それに比べて、息子の病院長。

理事長とは逆に、私が癌になる前は、よくワタシノベッドに来て

世間話して言ったものだが、

私の癌が分かった後は、手のひらを返したように来なくなった。

回診にも来ないし、たまに顔を出しても無表情で

診察だけして帰って行く。

この豹変ぶりには驚かされたが、

まぁ、それぞれ人には事情もあるから気にしていなかった。

そんな時に、妻からのこの相談だ。

好奇心旺盛の理事長月前及んで、

色々と聞き出したいのだったら理解できるのだが、

完全に私の癌に関して何も言わなかった

病院長からの電話なのだ、少しは驚くと言うもの。

「とりあえず、話だけ聞いて来る。」

と言う妻を送り出し、私はリビングでテレビを見始めた。

2時間も経ったころだろうか?妻が帰宅した。

顔を見ると、どうも怒っているような顔をしている。

「どうした?何言われてきた?」

恐る恐るhなし掛けてみると、

怒った顔の妻は少しづつ藩士恥また。

話を聞いて、私もさすがに怒りを覚えたのだが、

その内容とは、”旦那さんをどうやって殺すか?”

みたいな相談に聞こえたらしい。

医院長と妻と看護主任の3人で話したらしいのだが、

病院長が言うには、

「すい臓がんは進行の早い癌です。」

「奥さまの選択としては、緩和ケアに入れる、

家で看病するなら当院デハケアしきれないので、

他の病院を紹介します。」

と言う事だったらしい。

緩和ケアがどういうものか知らなかった妻は

病院長に聞いてみたらしいのだが、

「病院に入院して、一切の治療を放棄し、

なるべく苦しまないように最期を迎えさせる施設。」

と言う事らしい。そして付け加えた言葉が、

「高橋さんの場合は、人工透析も辞めるので、

2週間もすれば死んでしまうと思います。ハハハ・・・。」

「透析患者が透析を辞めると、

何の痛みも無く死ねるので、それも選択のひとつですね。」

「当院は癌の専門医がいないので、

もし、家庭で最期を迎えさせたいのであれば、

24時間対応の病院を紹介しますから登録しておいてください。」

「まぁ、家で看病するのは大変だから、

緩和ケアに入ってもらえるように説得するのが一番でしょう。」

なんだかね・・・。妻でなくても腹立つよな・・・。

早く言えば、癌は治らないからさっさと死んでもらおう!

最短で2週間のコースがありますよ!

みたいな感じだ。

「家で最後まで面倒見ます!」

と言い捨て、帰ってきたらしいのだが、病院長は再度まで

「看病は大変ですよ。

奥さまも働きにも行けないし家系は平気なんですか?」

なんてことを言っていたらしい。

まったく、私が入院していた大学病院もそうだが、

私の周りにいる医者がそうなのか、

それとも医者として、これが当たり前なのか・・・。

その日一日機嫌の直らなかった妻を見ながら、

”最後まで面倒見てくれる妻の覚悟には感謝だな。”

等と思いつつ、病院長には腹も立つが、

妻の気持ちが再認識されて、少しだけ嬉しさも沸いていた。

higan7
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